事業領域

Near Future Stories

あらゆるデバイスに内蔵されている
マイコンとその制御システムに、
思いを馳せるための3つの物語

  • STORY 1

    ライダーの安全・安心を守るもの

    20××年春、某日快晴。購入したばかりの電動オートバイは、スムーズに車線を流れている。VICS※1も進化し、以前のような渋滞はハイウエイからはなくなった。

    AHS※2のおかげで交通事故も激減しているが、二輪の魅力は自らがリスクをコントロールするところにある。だからこそ、自己責任が求められる装備には十分なコストを払っている。

    最新のHUD※3内蔵ヘルメット。初めて訪れる場所でもナビゲーションシステムが最適なルート表示をしてくれるのでストレスは無い。

    走行中でも風切り音やロードノイズを低減しつつ、Bluetoothによるインカム機能でスマホに連携。前・後部に装備された内蔵カメラは、360度の視界を常時モニターし、画像をオンラインのクラウドストレージにアップし続けてくれる。二輪用のドライブレコーダは、今や必須のアイテムだ。

    考えてみれば、ハイウエイ上で提供されている幅広いITS※4サービスと、ユーザーが利用するさまざまなデバイスをシームレスにコントロールしている制御システムには、いったいどんなテクノロジーが使われているのだろう。

    ロードサイドから送られてくるデータが、一般道路の渋滞情報を知らせてくれる。レベル5の自動運転が実現しても、走行している自動車の台数や、気象条件などによる速度制限によって、ある程度の渋滞はまだこの世界から消えてはいない。自動車事故も同様だ。

    だからこそ、ドライブレコーダーなど、安全対策のためのテクノロジーの進化は続いている。しかし、テクノロジーが高度になればなるほど、そのデバイスのUIはシンプルになり、操作が簡単になることはありがたい。複雑な機能とそれを制御するためのシステムとは、反比例するようだ。

    交通インフラの安心・安全を、ユーザーの最も身近で支えているのは、デバイスに組み込まれた制御システムかもしれない。

    • ※1:Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム)

    • ※2:Advanced Cruise-Assist Highway System(走行支援道路システム)

    • ※3:Head-Up Display(ヘッドアップディスプレイ)

    • ※4:Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)

  • STORY 2

    誰もが好みのサウンドを嗜好する時代

    帰宅した後の楽しみは、60年代のオールド・ジャズ。お気に入りは、チャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、そしてマイルス・ディヴィス。高音質、高解像度の音を再現できるサウンドプレイヤーが出現したことで、ユーザーはいつの時代の音楽でも、目の前で演奏されているような臨場感を持って楽しむことができるようになった。

    今夜のチョイスは、1961年の名盤『フリージャズ』。左のチャンネルからオーネット・コールマンのアルト・サックス、右からはフレディ・ハバードのトランペットが、くっきりとしたカラフルな音色で左右のスピーカーから浮かび上がってくる。最新のVRゴーグルは、一瞬で自宅のリビングから、ライブハウスの空間へ連れて行ってくれる。

    最新の音楽コンテンツを楽しむためには、ヘッドセットが必要不可欠になっている。映像とサウンドを合わせて楽しむためのVRゴーグル。目の前に流れる映像の指使いと音源とが完全にシンクロし、サウンドの立体感が空間の広がりをリアルに感じさせてくれる。没入感が半端ない。

    音は物体の振動によって発生する『波』、すなわち『音波』だ。その波が鼓膜を震わせて、人は音を感じる。その『音波』の性質には、『周波数』と『音圧』があり、音波の動きを測る変数として『位相』がある。それらの情報をいかに正確に再現できるかが、サウンドプレイヤーの評価になる。

    ユーザーの求める理想的なサウンドを再現するためには、音源の性質が正確にトレースされた電気信号を細かく調整して、スピーカーから再生させるための制御システムが必要だ。

    完璧に音源をコントロールできるVRシステムがあれば、もはや広いオーディオルームは必要ないのかもしれない。

  • STORY 3

    ニーズに最適化した制御システム

    久しぶりにアマチュアのロードレースに参加した。レース会場はさながら最新ギアの見本市の様相。現役大学生からハイアマチュアまで、愛好家達は新型アイテムの情報収集に余念がなく、話題はつきない。

    競技用自転車には、さまざまな先端技術が取り入れられている。世界最高峰の自転車レース『ツール・ド・フランス』に出走するトップレーサー達が使うのは、最新素材で作られた約7kgという軽さの自転車。しかも、時速100kmを超えるスピードにも耐える強度を併せ持っている。

    シフトチェンジは、ワイヤレスの電動制御。一般的な変速装置と比較すると、その軽さとスムーズさに誰もが驚くはずだ。シフトワイヤーを無くしながらも安全性を担保し、安定した走行性能を維持するためには、高度な通信制御システムが採用されているのだろう。

    休日のツーリングを楽しむ人達に人気なのがサイクルコンピューター。ナビゲーションシステムは安全対策であり、同時に走行データを把握して記録することで、効果的なトレーニングやダイエットニーズにもつながる。

    老若男女、自転車は人類に最も普及した移動ツール。電動制御と言っても、一方には街乗りの電動アシスト自転車がある。シェアサイクルのサービスが普及し、ビジネスからレジャーまで幅広いニーズに応えている。手軽に借りて乗り捨てられるのは、ここにも先端のIoTが活用されているからだ。

    カーボンニュートラルの流れの中で、自転車のニーズはこれからも高まっていくだろう。最先端技術が盛り込まれたロードレーサーの開発と同様に、タウンユースの新しいサービスの誕生にもIoTの制御技術は関わっている。

    ユーザーニーズに最適化した制御システムは、これからの未来に向けてますます重要な存在になっていくだろう。